企業がカーボンニュートラルに取り組むべき理由とメリット
現在では当たり前のように耳にするカーボンニュートラル。しかし、「大企業だけが取り組めばよい問題で、自分たちにはまだ関係ない」と考えている方が多いのが現状です。実際は、カーボンニュートラルは企業規模や産業を問わず、すべての企業が対応することが求められる重要な経営課題です。
そこで今回は、なぜ中小企業を含むすべての企業がカーボンニュートラルに取り組むべきなのか、また取り組むことによるメリットを解説します。
①サプライチェーン企業との取引継続&販路拡大
(出典:環境省・経産省「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム」)
カーボンニュートラル達成のために、自社だけでなくサプライチェーン全体のCO2排出量を削減することを日本においても進めています。すでに具体的な取り組みを進めている大企業にとっては、自社からの排出量(Scope1,2)よりも、原材料調達や輸送、廃棄などのサプライチェーン企業からの排出(Scope3)の方が全体の割合を占めているケースも多いです。
そのため、既存の取引先にもカーボンニュートラルへの対応が求められています。逆に、今のうちからカーボンニュートラルに取り組み、外部にアピールができている企業は、新たな取引先獲得のチャンスにもつながります。
右の表は、SBT認定企業がサプライヤーに対してCO2削減目標を掲げるように要請している例です。
SBTとは、パリ協定が求める⽔準と整合した、企業が設定する温室効果ガス排出削減⽬標です。日本では148社が認定済みで、カーボンニュートラルへの取り組みを対外的にアピールするための有効な国際認証です。
これを見てもわかるように、大企業だけでなく、サプライヤーにもカーボンニュートラルへの対応が求められていきます。
(出典:環境省・経産省「SBT(Science Based Targets)について」
②資金調達がしやすくなる
最近は、ESG投資というものが注目されています。ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)という非財務情報を考慮して投資を行うもののことを言います。
企業は、売上や業績だけを向上させればよい、という時代ではなく、地球温暖化に対してしっかりと対応しているかなども金融機関からの評価基準になっています。
例えば、カーボンニュートラルへの取り組みを行っている企業は、通常よりも低い金利で融資を受けることができる、という場合もあります。
③コスト削減につながる
電気代や燃料代が高騰している昨今、これらの削減に取り組んでいる企業は多いです。省エネや自家消費太陽光の導入などの取り組みは、カーボンニュートラルとしての取り組みであると同時に、エネルギーコストの削減にもつながります。
初期投資はかかりますが、燃料代が高騰しており、今後もその状況が続くであろうことを考えると、早めに対策をしてランニングコストを抑えることは、非常に重要です。
④カーボンプライシングが今後日本でも本格的に導入される
カーボンプライシングとは、二酸化炭素の排出に対して課税が行われる制度で、炭素税や排出量取引制度、クレジット取引など様々な種類があります。
欧州を中心にすでに導入されている国もありますが、日本でも今後、2026年より排出量取引制度、2028年より炭素税(化石燃料賦課金)が導入されることが公表されています。
何も対策をせずにいると、将来的に新たなコストが増大することがk舞っているため、今のうちから対策することが大切です。