企業のカーボンオフセットへの取組むべき活動
カーボンオフセットとカーボンクレジット
カーボン・オフセットとは、市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等の社会の構成員が、
自らの温室効果ガスの排出を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、
他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量等(クレジット)を購入すること又は他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動
実施すること等により、その排出量の全部又は一部を埋め合わせるという考え方です。
森林保全活動
運送業や配送業では、業務で車両を使うことが必須となるため、温室効果ガスの排出は避けられません。
脱炭素に向けた取り組みとして「EV・天然ガスを利用したトラックの利用」「台車や自転車に置き換えた配達」「電車やタクシーなどに貨客混載する」などの取り組みで排出をおさえる取り組みをしています。それでも削減困難な部分では、森林保全活動によって創出されたクレジットでオフセットに取り組んでいます。企業と自治体が協力して森林保全活動に取り組み、地域住民へ向けた自然体験・社会体験の提供を通じて、環境教育にも役立てることが可能となりました。また、運送業に限らず、国内外の森林保全活動をクレジット化する事例もあります。
環境に配慮した自然素材の商品の販売
製造業においても、製品の原料調達から製造・販売・廃棄・リサイクルに至るまで、温室効果ガスの排出が考えられます。そのような中、すべてのサイクルで発生する温室効果ガスの排出量をカーボンオフセットで埋め合わせし、排出量を実質ゼロとした環境配慮型の商品を製造する企業の事例があります。
カーボンオフセットを実現した製品の提案によって、製品を利用する企業も環境保全に貢献できるメリットがあるため販売力の強化といった面でも効果がある事例と言えるでしょう。ポイントでカ-ボンクレジットカードへ交換:販売・サービス業では、顧客へ環境保全の意識を促すことで、間接的なカーボンオフセットを実現している企業もあります。一例では、自店で利用できるカードのポイントをカーボンクレジットと交換することで、顧客の環境への意識と顧客満足度を高められる取り組みをする企業も見られます。製品を購入して貯められたポイントを利用することで、顧客の金銭的な負担が少なく、地球温暖化防止に貢献しているという満足感を与えることが可能です。製品を購入して貯められたポイントを利用することで、顧客の金銭的な負担が少なく、地球温暖化防止に貢献しているという満足感を与えることが可能です。改修工事で発生したCO2をオフセット:オフィスの改修工事にかかる温室効果ガスの排出量を、カーボンオフセットで削減する事例もあります。改修工事を依頼する際に、カーボンオフセットを実施する業者であれば、環境保全を考慮した工事が可能です。具体的には「現場事務所の節電」「低排出ガスの重機・機器の使用」などがあげられ、排出量の埋め合わせでクレジットを利用する形となります。また、リフォーム工事のパッケージを、寄付型のカーボンオフセットとする企業もあります。直接的なカーボンオフセットにはなりませんが、環境問題を考慮した工事で作られたオフィスという企業イメージの向上につなげられるでしょう。カーボンオフセットに適したオフィスチ家具を導入:カーボンオフセットを利用したオフィス家具の導入でも、環境保全への貢献が可能です。カーボンオフセットが100%達成されたオフィス家具を選ぶことで、原材料から廃棄・リサイクルに至るまでの環境貢献ができます。また、クレジットの付与されたオフィス家具の購入で、カーボンクレジットとして取り扱える上、温室効果ガスの削減へ寄与できます。オフィスにおけるカーボンオフセットは、クレジットの購入に頼る部分が否めません。しかし、こういった家具を導入することで、カーボンオフセットの実現への足がかりとすることが可能です。
カ-ボンオフセットに取り組む際の注意点
- 温室効果ガスの排出量をおさえる努力をしないで、クレジットによるカーボンオフセットのみ実施すると、単なるマーケティングの手段となってしまう懸念があります。クレジットさえ購入すればカーボンオフセットを実現できるとなると、見かけ上は排出量をおさえられるため、本来の目的を見失ってしまう企業が出てくる可能性も否めません。
- 自社で排出量の削減努力をして環境を守るのが、カーボンオフセットおよびカーボンニュートラルにおける本来の目的です。その前提を忘れることなく、カーボンオフセットに取り組むことが重要となるでしょう。
- わからないことは各機関に相談:ーボンオフセットを最初からすべて自社で情報収集すると、時間がかかりなかなか実行までたどり着けません。
- わからないことが出てきた場合は、関係機関へ早めに相談して進めるのが得策です。
- クレジット制度についてわからないことがあれば、Jクレジットのサイトに関係連絡先が記載されていますので、参考にすると良いでしょう。
カーボンクレジットのように、炭素(二酸化炭素)の排出量に価格をつけ、排出量に応じて企業や家庭に金銭負担を課す仕組みが「カーボンプライシング」です。カーボンオフセットの利用で環境保全に貢献して行きましょう。
企業におけるカーボンニュートラルの実現は、カーボンオフセットの利用なしでは実現できないといっても過言ではないでしょう。積極的な取り組みで環境に貢献でき、企業のブランディングにも寄与することが可能です。しかし、温室効果ガスの排出量を減らす努力はせず、クレジットの利用だけでカーボンオフセットを実施するのは、本来の目的を見誤ってしまう可能性があります。何のためにカーボンオフセットをしなければならないか、本来の目的に沿った運用が重要だと言えるでしょう。企業内のカーボンニュートラルの実現方法として、カーボンオフセットへの適切な取り組みを心がけましょう。